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北大山スキー部、マムート・バリーボックスSを導入

北大山スキー部、マムート・バリーボックスSを導入

 創部110年の歴史を誇る北大山スキー部が雪崩トランシーバー(旧称ビーコン)を導入したのは1991年冬、30年前のことだ。山とスキーの会(OB会)が費用を出し、オルトボックスf1focusを40台購入。部員全員に貸与し、使い始めた。110年間に雪崩で死んだ部員は、5名。私たちは雪崩による死者を出さない努力を続けてきたが、雪崩事故は無くならない。2007年から14年間に現役とOBが起こした雪崩事故が、6件もあり、うち2件は雪崩トランシーバーにより3名の埋没者を発見、生存救出している。雪崩トランシーバーがなければ、死者が3人増えていたはずだ。

 1991年に山スキー部が導入したのは、アナログのオルトボックスf1。2003年にデジタルに変え、ピープスDSPを導入した。北大当局が雪崩トランシーバーを購入してくれるようになり、順次新機種への更新が進んでいたが、購入から十数年が過ぎた古いピープスDSPを1年生たちが使用していた。機械の耐用年数は、たいてい10年だ。部員の雪崩トランシーバーの使用日数は年間50日ほど。過酷な環境で使用時間が多くなれば、故障が多発する。昨年末、一年生の捜索練習を行うと埋設した雪崩トランシーバーを発見できなかった。ちゃんと練習をしているはずなのに・・。なぜ?私のマムート・バリーボックスSを一年生に貸すと、上級生より早く発見できた。

「僕が下手じゃなかった。古い雪崩トランシーバーを使っていたからだ」

 1年生は自信を取り戻し、笑顔が浮かんだ。しかし、私は危機感を覚えた。一年生たちが古い雪崩トランシーバーを使っていたら、生存救出できないじゃないか。

 本州に住むOBが声を上げ、アメリカに住むOBが後押しし、山とスキーの会がマムート・バリーボックスSを6台購入することになった。2月中旬、阿部夕香さん(札幌山岳ガイドセンター、雪氷災害調査チーム)に講師をお願いし、1年生たち6名に使用方法を教え、講習を行った。講習を手伝ってくれた上級生たちは、バリーボックスSの優れた性能に驚き、一年生を羨ましく見つめた。冬山から生きて還るために、命を守るために、1台6万円の装備。高いなんて言ってはいけない。命は、6万円よりはるかに尊い。さらに20台を購入するしかないだろう。私は山スキー部員たちが、春山を楽しみ、パウダーを滑降し、生きて還ってくることを願っている。

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