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『那須雪崩事故の真相』が2019年度ミズノ スポーツライター賞 優秀賞を受賞

阿部 幹雄 ASSH代表の『那須雪崩事故の真相』-銀嶺の破断- (山と渓谷社) が『2019年度ミズノスポーツライター賞 優秀賞』((公財)ミズノスポーツ振興財団)を受賞いたしました.

https://media.mizuno.com/~/media/Files/zaidan/pdf/writer/writer_2019_final.pdf

受賞者及び選考理由

 2017年3月、栃木県那須岳の中腹で、「春山安全登山講習会」に参加して訓練中だった 高校生の一団を雪崩が襲い、高校生7人と教員1人が死亡、40名が負傷するという大惨事が起こった。 本書は「雪崩事故防止研究会」の代表を務める著者が事故の全容とその原因を徹底して突き詰めて書かれている。著者自身が1981年、中国四川省のミニャ・コンガで8名が滑落した 遭難の生き残りであり、その後、今日まで遺骨の捜索と収容や遺族の訪問を続けている。その 思いを土台に雪崩事故の真相に迫る著者の筆致は執拗かつ詳細であり、読む人を粛然とさせる 力を持っている。

 極めて専門的で難解な解説がいくつも示されるが、仮にそれ等を理解しなくとも著者が丁寧 に事故の真相に迫ろうとしているのはよくわかる。著者以外の山岳の専門家の分析も含め、感 情論を抑え、あくまでも科学的に雪崩事故にアプローチしている。雪崩についての科学的な分 析、生徒たちの当日の行動についての追跡と推論という客観的な叙述に加えて、親や生徒たち の肉声を記録した人間味のある記述にも多くのページが割かれている。本書全体に、ほとんど 見開きごとと言っていいくらい現場の写真や説明図が配されて読者の理解を助けてくれる。事 故の全貌をできるだけ正確に読者に伝えたいという著者の熱い思いが伝わってくる。その背景 に著者のミニャ・コンガ体験が深く根を下ろしていることが読み取れる、良心的な一冊である。

「『那須雪崩事故の真相』-銀嶺の破断」が、ミズノスポーツライター賞「優秀賞」を受賞しました。表彰式は、4月21日に東京で行われます。
 拙著を評価していただいとことをとても嬉しく思います。
 私はなぜ、ミニャ・コンガで死ななかったのだろうかと、ずっと考えてきました。辿り着いた結論は、なぜ死ななかったのかと考えることを止めよう、生きているのだから生きる理由を考えようと思うようになりました。
 伝える使命があるから、私は生きている。
 写真、映像、文章で真実を伝える。私の使命だと思っています。これからも使命を果たし、生きていきます。
 最愛のご子息を失ったご遺族。真実を知りたいという悲痛な叫び、深い哀しみ、憤りを吐露していただきました。生き残ったことに苦しみながら、真実を語ってくれた太田原高校山岳部部員たち。PTSDに苦しむ息子と向き合い苦悩する父、母までもが真実を語ってくれました。生徒、教員を失い、事故の再発防止を願って協力をしていただいた教育関係者の皆さん。そして、なぜ雪崩が発生したのか、真実を究明できる観測結果、研究成果を提供していただいた研究者の皆さん。
 私ひとりでは、この本を世に出すことができませんでした。ほんとうにありがとうございました。

阿部幹雄   

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